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HEART FOREST

その昔、6人の船乗りが海の彼方に夢を求めて航海にでました。
順風満帆に思われた航海は、大嵐に遭遇し、
舵を失った船は何日も何日も、海の上を漂流しました。

船上では食べ物が底をつき、飢え、渇き、病いが彼らを襲いました。
死の恐怖と闘い、いよいよもうダメかと諦めかけたとき、
船は小さな無人島に漂着しました。


その島には美しい小川があり、木の実や果実が豊富に実っていました。
「助かった!」と6人は歓喜し、小川の水を飲み、木の実や果実、
魚を獲って食べ、無人島での生活を始めました。

ようやく島の生活に慣れ、6人揃って元気を取り戻した頃、
船乗り達はとても些細なことで言い争うようになりました。


「この中で、誰が一番えらいのか。」
「この中で、誰が一番つよいのか。」
 

闘争、奪い合いは日に日にエスカレートして、
ついには意地の張り合いから6人はバラバラになってしまったのです。

そんなある日のこと。
船乗りの一人が、森の奥へと進んで行くと。。。
だんだん霧が立ち込めて、黒く大きな雨雲が近づき、
森はあっという間にすっぽり深い霧に包まれて、

雨と暗闇の世界に変わりました。


完全に方向を見失った船乗りは、鬱蒼とした雨降る暗闇の森の中で、
「仲間はどこにいるんだろう。」
「故郷の家族はどうしているんだろう。」
不安と淋しさを堪えてただじっと座り、仲間のことを思い出していました。


どのくらいの時間を過ごしたでしょう。
突然、目の前に一筋の光が差し込み。。。
ふと光の差し込む方を見上げると、

暗い雲間の切れ目から眩しいほどの光とともに、
白いハトが頭上を飛び去って行くのが見えたのです。
船乗りは、慌ててその白いハトを追いかけました。
ハトについて、どんどん山の中を分け入っていくと、
いつの間にか、頂上の1本の大きな木の下にいました。
ハートの形をした不思議な大樹でした。

どうやら、その木は白いハトの窠のようです。
白いハトに導かれ、深い森での淋しさ、不安から開放されたと感じたとき、
山の藪の中から次々と船乗りの仲間達が現れました。
仲間達も、白いハトに導かれて、この場所に集まったのでした。
久しぶりに6人が揃い、笑顔が溢れました。

振り向くと、眼下には青い海が広がっていました。
いつしか雨も上がっていて、青い空には大きな虹が架かりました。

6人の船乗りたちは、仲間への思いを再確認して互いに抱き合いました。
そして力を合わせて故郷へ帰ることを決意しました。

時代は過ぎ、この不思議な出来事を伝え聞いた人々は、
平和と愛の使者が住むという伝説の森を、
「HEART FOREST」と呼ぶようになったのです。



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